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開発秘話
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銅一体型鉛レス電線ヒューズの開発経緯

鉛レス電線ヒューズエレメントの開発について

当社は、1976年から電力会社様に向けて、各需要家に電気を送るための電線(引込線)を保護する機材として、電線ヒューズの開発−製造−販売を行なってきました。

この電線ヒューズエレメント(電流が流れ溶断するもの)は、引込線が発煙する電流ギリギリで動作する部分(溶断部)と大きな電流(3000A程度)を正常にしゃ断する部分(しゃ断部)に分かれた構造となっています。
溶断部は、比較的小さな電流でも発熱し、溶断する必要があるために低溶融合金(鉛を含んだはんだ)を使用し、しゃ断部は、銅線を使用していました。
そのためエレメントには、はんだ付による接続部分がありました。

1997年当社は環境保護の観点から、鉛を含む製品を鉛レス化する検討を始め、この電線ヒューズを鉛レスにする開発をスタートしました。

この鉛レス化の検討に際し、低融合金に含む鉛を別の金属に置き換えるのではなく、エレメントの経年劣化の要因となっている、はんだ付による接続部を無くした、銅一体型構造(接続部の無い構造)で、経年劣化に強いものが実現できないかの検討を開始しました。

  • 銅一体型構造のエレメントの設計では、エレメントの各部の電気抵抗値(発熱量)、体積(熱容量)、表面積(放熱量)、断面積(放熱量)を計算し、各種類毎−規定の電流毎にシミュレーションを行い、基本構造を決定しました。
  • 基本構造の決定後、計算によるシュミレーションを基に、試作品を数十種類製作し、各種の検証試験を実施いたしました。
  • 銅の融点ははんだの融点に比べ非常に高く、低い電流値の溶断がしにくく、規定の溶断時間内に溶断させるためには、銅を細くして、抵抗値を高くしないと溶断しない。
    抵抗値を高くすると、規定の通電時の温度上昇値が高くなり、規定を満足しない。
  • また、低い電流値で溶断するように細い部分を長くすると、3000Aのしゃ断試験で、ケースが破裂するなど、開発にはかなりの困難がありました。

エレメントの各部の微妙な寸法(構造)の組合せで、規格の要求特性を満足するものを目指 しました結果、1999年に温度上昇値、各溶断特性、しゃ断特性、大きな電流の繰返しのヒートサイクル特性等全ての要求特性を満足する、現在の関西電力様 仕様の銅一体型鉛レス電線ヒューズの開発に成功いたしました。

1999年関西電力様の用品認定をいただき現在ご使用されていますが、認定以来、エレメントの劣化による停電事故は、1回も報告されていません。

図

また、この銅一体型鉛レス電線ヒューズの技術により、2006年に中国電力様向け鉛レス電線ヒューズを中国電力(株) エネルギア総合研究所様と共同開発に成功し、用品認定をいただき、現在ご使用いただいております。

2010年6月に沖縄電力様、2010年10月に四国電力様にご採用いただき納入を開始しております。
2015年4月からは東京電力様へ納入を開始しております。
2016年には北海道電力様より用品規格6種類(2.6〜60)の認定をいただいております。

これからも、更なる性能向上と環境負荷軽減を目指した電線ヒューズを開発し続けます。


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